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食料の支援を必要とする人は増え続けている=2025年1月28日、札幌市
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 長引く物価高騰で、生活に困窮する人たちが増え続けている。一方で、食料を配布する支援団体への企業からの寄付は減り、支援団体が食料を確保するのも難しくなっている。物価高が収束する兆しは見えない。

 今年1月下旬、札幌市内の食料支援会場のビルの一室は、廊下まで人があふれていた。「令和の米騒動」がさめやらぬなか、2月の節分を前に恵方巻きを食料品とともに配ると、詰めかけた人たちは顔をほころばせた。

 この食料支援は、フードバンク団体「フードバンクセンター」(札幌市)が、2021年春から毎月1回行っている。当初は1回に30人程度だったが、年々増え、この半年は1回に100~150人が列をつくる。

 食料支援に訪れる人は、病気や障害のある人、ひとり親世帯、失業者、出所者、外国人、大学生などさまざまだ。フードバンクセンターなどを傘下に持つ「FUTUREFLIGHTグループ」(札幌市)の釜沢剛璽(ごうじ)社長(46)は「少し前まで自力で生活できていた人の利用が増えている。日本はいま、病気や失業などをきっかけに、誰でも簡単に生活が困窮し得る社会だ。いろんな人が働きやすい社会にしていきたい」と話す。

 20歳代の息子と二人暮らしの50歳代の女性が、食料支援に訪れた時は、受給していた障害年金だけでは暮らしていけなくなり、家族で自殺を考えていた。生活保護の申請により自殺を思いとどまらせたという。20歳代の出所者の男性には、就労場所を提供したこともあるという。

 食料支援を必要とする人は増え続ける一方、企業からの寄付は大幅に減っている。スーパーなどの寄付をしてきた企業側も原材料高や人件費高騰で経営が苦しくなり、寄付を減らしたりやめたりしているためだ。個人からの寄付を増やしてもらうよう働きかけているが、それでも足りない分は、傘下企業の収益でまかなっている状況という。

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